キャンピングカー制作〜車体塗装編〜

キャンピングカーをDIYで作るなら、避けて通れないのが「塗装」工程。
外観の印象をガラリと変えるだけでなく、雨風や紫外線から車体を守るためにも重要な作業です。
とはいえ、いきなり塗料を塗るわけではありません。
実はこの塗装作業、下準備が9割。パーツを外して、足付けして、凹みを整えて…と、段取りが仕上がりを大きく左右します。
この記事では、私が実際に取り組んだ「車体塗装」の工程を順を追ってご紹介。
DIYならではの工夫や注意点も交えながら、「やってよかった!」と思える塗装のコツをお伝えします。
それでは、さっそく見ていきましょう!
📌 この記事でわかること
- 🔋 塗装前にやるべきこと
- 🧮 塗装の種類
- 🛠️ 塗装の注意点
1. パーツ外し|塗装前にやっておくべき準備
塗装作業を始める前に、まずやっておきたいのが「外せるパーツの取り外し」です。
というのも、パーツを付けたまま塗装してしまうと——
- 塗りたくない部分まで塗料がかかってしまう
- 細かい隙間や境目にうまく塗料が入らず、ムラができやすい
といったトラブルが起こりがち。
特に仕上がりにこだわりたい方は、塗装する範囲をできるだけ“分割”して、小さな面ごとに丁寧に塗っていくのがおすすめです。
フロントバンパーやグリルなど、取り外せるものは取ってしまったほうが、結果的にクオリティも高くなりやすいんです。
とはいえ、私の場合は「作業時間を最小限にしたい」という理由から、パーツの取り外しは最低限にとどめました。
実際に外したのは以下の3つだけ:
- 車体上部のアンテナ 運転席
- 運転席、助手席ドアの窓に付いているバイザー(ドアバイザー?正式名不明)
- フロントのナンバープレート



左:アンテナ 真ん中:ドアバイザー 右:ナンバープレート
この3つはそのままだと塗料がかかりやすく、また境界線も複雑なので、取り外しておいたほうが安心。「どこまで外すか?」は、仕上がりのこだわり度と作業時間との相談になります。自分のDIYスタイルに合わせて、無理のない範囲で調整してみてくださいね。
2. 足付けとは?|塗料をしっかり密着させるために
パーツの取り外しが終わったら、次は「足付け(あしづけ)」という作業に入ります。
これは、塗装の“食いつき”を良くするために欠かせない下準備のひとつ。
ツルツルの面にいくら丁寧に塗装をしても、しばらく経つとポロッと剥がれてしまうことがあります。
これは塗料がしっかり定着せず、表面に乗っているだけの状態だから。
そこで必要になるのが「足付け」です。
細かいやすりで表面に無数の小傷をつけることで、塗料の密着力を高め、塗膜がしっかりと定着するようにします。
使用するやすりは?
足付けに使うやすりは 400番〜800番 が一般的。
私は今回は400番を選びました。やや荒めですが、そのぶん効率よく下地を作ることができます。
やすりがけのコツ
ここで重要なのが、「やすりは手だけで擦らない」ということ。
手の力は思っている以上に均一ではなく、どうしても削りムラができてしまいます。そこで活躍するのがあて木。
やすりを平らな木やゴム板などに巻きつけて使うことで、一定の圧力で均一に削ることができ、ムラを抑えられます。
サンダーを使えばさらに効率アップ!
今回のように車全体を塗装する場合、面積がとにかく広いので、電動サンダーを使うのがおすすめ。足付けだけでなく、後で行うパテ研ぎにもそのまま使えて、作業効率が段違いです。足付けは正直、地味で体力も使う作業です。
でもこの工程をおろそかにすると、どれだけ上手に塗っても台無しになってしまうことも。根気のいる作業ですが、ここを丁寧にやることで仕上がりに大きな差が出ます。
3. パテ盛りと整形|凹みや段差を滑らかに
足付けまで終わったら、次は「パテ盛り」の工程に入ります。私が購入したトラックは中古車だったので、よく見ると小さな傷やへこみがあちこちに…。もちろん、そのまま塗装することも不可能ではありませんが——
塗料だけでは傷やへこみは消えません。せっかく塗装するなら、少しでも“新車感”を出したいですよね。
そこで活躍するのが「パテ」。表面を整えるための必須アイテムです。
パテにはいろいろな種類がありますが、基本的には2種類だけで大丈夫です。
- 整形用パテ(荒仕上げ用)
大きめの傷やへこみに使います。厚く盛れるので形を作りやすいですが、どうしても巣穴(小さな空気穴)ができやすく、これだけでは完璧にはなりません。 - 仕上げ用パテ(細仕上げ用)
細かい傷や、整形後の巣穴埋めに使います。滑らかに仕上げたい部分にぴったり。
ちなみに、私の車体はラッキーなことに大きな凹みはなく、小さな傷とへこみだけだったので、今回は仕上げ用パテのみを使用しました。
パテの使い方と注意点
パテは通常、主剤と硬化剤に分かれています。使うときはそれぞれの製品に記載された比率を守って、正確に混ぜましょう。


上:パテの主剤 下:硬化剤 パテを混ぜた後
ここでのポイントは、しっかり、でも手早く混ぜること。
混ぜた瞬間から硬化が始まるため、モタモタしているとあっという間に使えなくなってしまいます。
とはいえ、焦って混ぜ不足になってもダメ。
硬化にムラが出て、「一部だけ固まらない」なんてことにもなりかねません。なので、手早く、でも念入りに混ぜることが大切です。混ぜ終わったら、さっそく盛り付けていきます。
このときのポイントは——
形を整えるのは削るとき!まずは多めに盛る!
最初から完璧な形にしようとする必要はありません。むしろ、少し“盛りすぎ”くらいの方があとから削って調整しやすいです。
「盛る→削る→盛る→削る」を繰り返して、少しずつ理想の形に近づけていきましょう。
プラサフで最終チェック
パテ盛りが終わったら、一度プラサフ(プライマーサフェーサー)を吹いてみるのがおすすめです。実はこの段階で、目では見えなかった巣穴やムラが浮かび上がってくることもあります。仕上がりを綺麗にするためには、この“見えていない傷”を見つけることも大切。プラサフを活用して、次の工程に備えましょう!
4. マスキング|塗りたくない部分をしっかり保護
パテ盛りまで終えたら、「さあ、いよいよ塗装!」…といきたいところですが、実はまだ大事な工程が2つ残っています。
それが マスキング と 脱脂。この2つを丁寧にやるかどうかで、仕上がりの美しさが大きく変わります。
まずはマスキングから進めていきましょう。
マスキングの目的とは?
マスキングとは、塗りたくない部分を塗料から守る作業です。
これをやらずに塗装を始めてしまうと——
- 窓ガラスに塗料がついてしまう
- ゴムパーツやライト部分が汚れて見た目が台無し
- 雑な印象が残ってしまう
…と、せっかくのDIY塗装が残念な結果になってしまいます。
使用する道具は2種類
マスキングに使う道具は主にこの2つだけ:
マスキングテープ(塗装の境界線用)
こちらは、塗りたい部分と塗りたくない部分の境界線に貼るもの。
ポイントは「塗りたくない側に貼る」ということ。

たとえば、ボディと窓ガラスの境目を塗りたい場合、テープはガラス側に貼っておきます。
このとき、隙間ができないように丁寧に貼ることが何よりも重要。
テキトーに貼ると、そこから塗料が侵入してしまい、あとから後悔することになります…。
マスカー(養生ビニール付きテープ)
もうひとつが「マスカー」と呼ばれるアイテム。
これは、マスキングテープにビニールが付いているタイプで、広い範囲を覆いたいときに使います。
やり方としては、先に貼ったマスキングテープの上から、このマスカーを重ねる形で貼り付けていきます。
これをしっかりやっておけば、ローラーやスプレーで塗装したときに、塗料が飛び散っても安心です。

地味だけど超重要な工程
マスキングは地味で時間のかかる作業ですが、仕上がりのクオリティに直結する超重要工程です。
「多少はみ出してもいいや」と思って妥協すると、後から必ず後悔します。
この工程を丁寧にやることで、「DIYとは思えない綺麗な仕上がり」へと一歩近づきますよ!
5. 脱脂の重要性|油分を残すと失敗の元!
パーツ外し、足付け、パテ盛り、マスキング…
ここまで来たら、いよいよ塗装!——と言いたいところですが、もうひとつだけ大切な作業が残っています。
それが「脱脂(だっし)」です。
なぜ脱脂が必要なのか?
脱脂の目的はシンプルに言えば2つ:
- 表面に残った油分の除去
- 足付けやパテ削りで出た細かい削りカスの除去
この2つをしっかりやることで、
- 塗料が弾かれる(はじく)現象の防止
- ザラザラとした仕上がりの回避
ができるようになります。
言い換えれば、ここまでどんなに丁寧に作業をしていても、脱脂をサボるとすべてが台無しになる可能性もある、ということです。

脱脂が不十分だったところ
こうなってしまったときの対処法も塗装のところでまとめますが、このようになってしまうと見た目が悪くなります。
脱脂のやり方
やり方自体はとてもシンプルです。
- 脱脂用スプレー(シリコンオフなど)を吹きかける
- 綺麗なクロスで拭き取る
これだけでOK。特別な技術は必要ありません。
ただし、作業範囲が広いとどうしても拭き残しや塗り残しが出やすいです。
そこでおすすめなのが、自分なりに拭き取り順を決めておくこと。
たとえば:
右上 → 左下の順に面ごとにしっかり確認しながら進める
といったルールを決めておくと、ミスが減り、作業効率も上がります。
まとめ:脱脂を“手抜きしない”
「見えない作業こそ、仕上がりを決める」
脱脂はまさにそんな工程です。
塗装のノリと仕上がりを決定づけるこのステップ、
最後まで気を抜かず、しっかり丁寧に行いましょう!
6. いよいよ塗装|素人でもできるきれいな塗り方のコツ
すべての下準備が完了したら、ついに塗装本番です!
ここまで来たあなたなら、もう十分にDIY塗装の土台は整っています。
でも、塗装と一口に言っても実は種類があり、選ぶ方法によって仕上がりや難易度、コストが大きく変わってきます。
まずは、それぞれの塗装方法について紹介しましょう。
DIYで選べる塗装方法は主に2種類
刷毛(はけ)やローラーで塗る方法
メリット:
- 道具が安価で手軽に始められる
- 失敗が少なく、コントロールしやすい
- 初心者でも扱いやすい
デメリット:
- 刷毛やローラーの跡が残りやすい
- 見た目が“DIY感満載”になることも
- 色の選択肢が少ない(ホームセンターで買える範囲)
とにかく「安く・簡単に・失敗せずに」やりたい方にはこちらが最適です。
多少の見た目のラフさは気にしない!というスタイルなら、十分選択肢になります。
スプレー缶やスプレーガンで塗る方法
メリット:
- 本格的な車のような仕上がりが目指せる
- 光沢感や均一な塗膜が出せる
- メーカー純正色など、色のバリエーションが非常に豊富
デメリット:
- コストが高め(特にスプレーガン+コンプレッサーは初期投資大)
- 難易度が高く、ムラや垂れが起きやすい
- 失敗したときのリカバリーが大変
私のおすすめ:スプレー缶塗装
私は今回、スプレー缶による塗装を選びました。
理由はシンプルで、
- うまくいけば本当にきれいに仕上がる
- 好きな色が自由に選べる
- 自分好みのスタイルにカスタムできる!
とくに色にこだわりたい方にはおすすめ。
「あのメーカーの、この車の色がかっこいいな〜」と思ったら、カラー番号を調べてスプレー缶として入手することもできます。
もちろん、スプレー塗装にはコツも失敗もつきものですが——
次の塗装方法では、塗り方のポイントや、失敗したときのリカバリー方法までしっかり紹介していきます。
“自分だけの一台”を作るなら、ぜひ一歩踏み出してみてください!
7. 塗装手順|実際にどうやって塗るのか?
足付け、パテ盛り、マスキング、脱脂……
これらの下準備がすべて終わったら、ついに塗装スタートです。
ここでご紹介するのは、私自身がネットで情報を集めながら、実際に何度も試行錯誤して身につけた塗装手順です。
プロの方から見れば「もっとこうしたほうがいい」という部分もあるかもしれませんが、「DIYでこれくらいできるんだ!」という目安として見ていただければ嬉しいです。
塗装前に必ず意識しておきたい5つのポイント
- マスクは必須!
スプレー缶にはシンナーが含まれており、吸い込みすぎると体調を崩します。
私はマスクなしでやって咳が止まらなくなりました……絶対にマスク着用をおすすめします。 - スプレー缶は15〜20cm離して使う
近づけすぎると一ヶ所に塗料が集中し、垂れる原因になります。
ついつい近づけたくなりますが、グッと我慢! - 塗りにくい場所から先に塗る
面よりも、ふち・溝・端っこが塗りにくい。
先に難しい場所を塗っておくと、塗りムラや垂れを防ぎやすくなります。 - 寒い日は避ける(冬場はNG)
スプレー缶の内部圧が下がり、うまく吹き付けできません。
どうしてもやりたいときは、缶を40℃くらいのお湯で温めましょう。 - 湿気や強風の日は避ける
乾きが悪くなり、垂れや汚れの原因になります。天候は必ずチェックしてから作業しましょう。
塗装の3ステップ+クリア仕上げ
手順①:捨て吹き(下地作り)
いきなり本番塗装ではなく、まずは軽く全体に塗料を乗せる「捨て吹き」からスタートします。
これは色を乗せるというより、塗料が定着しやすくなる下地を作るイメージ。
色ムラがあってもOKです。
この段階で、もし塗料が弾いている場所や足付けが甘い場所があれば気付きやすいので、トラブルを最小限で発見できます。

捨て吹き後のボンゴトラック
手順②:本吹き(重ね塗り)
捨て吹きから10分ほど乾かしたら、本格的に色を入れていきます。
ここでの鉄則は:
垂れそうになったら、無理せず止める!
スプレー塗装は「重ね塗りが基本」。
1回で完璧に仕上げようとせず、少しずつ、丁寧に回数を重ねることを意識しましょう。
本吹きは色が均等に見えるまで繰り返します。
1回ごとに15分程度の乾燥時間を取りながら進めていきます。

本吹き後のボンゴトラック
手順③:仕上げ吹き(最終調整)
色がしっかり乗ってきたら、最後の仕上げ吹き。
このときは、ほんの少し多めに塗料を吹き付けることで、ツヤ感や深みが出てきます。
ただし、垂れる寸前で止めることが重要。
感覚が難しいですが、小さなパーツなどで練習してから本体に挑戦すると失敗しにくいです。
+仕上げのクリア塗装(光沢と保護)
色塗りが終わったら30分ほど乾燥させた後に「クリア」を吹きます。
クリアは「透明な保護膜」。
- 光沢を出す
- 色あせ・傷から保護する
という大切な役割を持っています。
手順はカラー塗装と同じ:
- 捨て吹き
- 本吹き(2〜3回)
- 仕上げ吹き
同様に乾燥時間をしっかり取りながら、重ねていきましょう。

クリアを塗装後のボンゴトラック
もし失敗してしまったら?【対処法】
● 塗料が浮いたとき
- 30分〜1時間ほど放置して乾かす
- 再度捨て吹きを薄く何度か繰り返す
- 浮きが見えにくくなってきたら、本吹きで仕上げる
● 垂れてしまったとき
- 2時間ほど乾かす(※冬以外ならこのくらいでOK)
- 800番の耐水ペーパーで垂れた部分だけ優しく削る
- 削ったら水分を飛ばし、再度脱脂→塗装の流れでやり直す
8. 最終作業|もっときれいに仕上げたいなら“磨き上げ”
ここまで塗装・クリアまで完了していれば、見た目はかなりきれいに仕上がっているはずです。
ただし、「本当にツルツルピカピカにしたい!」という方には、最後の工程として磨き上げ(研磨・ポリッシュ)をおすすめします。
ちなみに私は、そこに時間をかけるよりも早くキャンピングカーを完成させたかったので、磨き上げは省略しました。
ですが、より高いクオリティを目指す方のために、手順だけはしっかり記載しておきます。
磨き手順①|塗装後にしっかり乾燥させる
まずは、塗装が完全に硬化していることが前提です。
目安としては、塗装後に1日ほど置いてから作業に入りましょう。
そして、耐水ペーパーを使った研磨から始めます。
- 最初は1500番の耐水ペーパー
- 仕上げに2000番の耐水ペーパー
このとき、水をつけながら軽くなでるように削っていきます。
塗装直後は見た目がツルツルしていても、実際に触ってみると意外と細かい凹凸があるものです。
触ってみて“本当につるつるになったな”と感じたら、次の工程へ進みましょう。
磨き手順②|コンパウンド(粗目)で磨く
次は、コンパウンドの粗目を使って塗装面を磨いていきます。
この工程では、自分の顔がうっすら映るくらいの光沢を目指します。
手作業でもできますが、かなり根気と時間がかかるので、ポリッシャーを使うのが圧倒的におすすめ。
この段階では、まだ少し曇っている感じでもOKです。
磨きすぎず、バランスを見ながら進めましょう。
磨き手順③|鏡面仕上げ用コンパウンドで仕上げ
最後に使うのが、鏡面仕上げ用コンパウンド。
これもポリッシャーで磨いていきます。
ここで目指すのは、まるで鏡のように、自分の顔がくっきり映る状態。
仕上がったときの達成感は格別で、「DIYでここまでできるのか」と思えるレベルになります。
まとめ:時間と手間はかかるけど、満足度はMAX
磨き上げはやってもやらなくてもいい工程です。
実際、私はやらなくても十分満足できる仕上がりになりました。
でも、「せっかくここまでやったなら、もっと完璧に仕上げたい!」という方には、やる価値のあるラストスパートです。